研究概要 |
能登半島七尾湾に面する石川県七尾市中島町の公有水面埋立地の一角約160m_2を1mの深さまで掘削し,自走式土質改良機を用いて掘削土(粘土,pH≒5)にセメント系固化材を6%(乾燥質量比)添加,混合して一旦0.5mの厚さに埋め戻した.続いて,この層の上に「掘削土-セメント系固化材(添加率9%)混合物」,「掘削土-セメント系固化材(添加率6%)-粉砕した牡蠣殻(粉砕殻,混入率20%)混合物」をそれぞれ0.5mの厚さに2工区分ずっ埋め戻した.ここに,1工区あたりの幅および長さは2mおよび10mである.さらに,掘削土に替えて別の工事現場に出現した酸性硫酸塩土(pH<3)を用いた混合物を1/2工区分ずっ埋め戻した.これら5つの工区で,施工後およそ1年にわたって地盤簡易支持力測定器による衝撃加速度値(インパクト値)I_αの計測を定期的に実施するとともに,3ヶ月経過時にはFWDによるたわみ量調査と現場CBR試験とを行った.なお,現場CBRは6ヶ月経過時にも求めてI_αとの整合性を確認した.その結果,明酸性の掘削土も極強酸性の酸性硫酸塩土も,セメント系固化材と粉砕殻との併用によって支持力の大きい,変形の小さい改良地盤を構築できることが明らかとなった.加えて,粉砕殻は中和作用を促進する効果のみならず,セメント系固化材の使用量を1/3程度低減できる効用も合わせ持つことが判明した. 一方,現地調査と並行して室内で実施した一軸圧縮試験(最長材齢360日)の結果によれば,一軸圧縮強さq_uとI_α現場CBRとの間には高い相関が認められ,I_αをもとに強度発現の過程や支持力の増加傾向を推測可能であることがわかった.また,動的および静的逆解析によって改良地盤の弾性係数を求める演算プログラムを作成し,粉砕殻の混入は剛性の面からも有益であることを確かめた.
|