研究課題
本研究は、洪水氾濫が生じた際の住民の避難行動をできる限り円滑に行えるようにするための氾濫原内対策の最適設計手法を確立しようとするものである。上記の目的を達成するため、平成16年度には、研究計画の初年度として、氾濫原における治水対策システムの全体構成を踏まえつつ、その最適化問題を構成する部分システムの検討および必要なツール群の開発を行った。具体的には、対策システムの性能評価しようとして洪水時の避難成功率を定義するとともに、氾濫原内原内洪水対策の計画問題を、限られた費用(嵩上げ土量)のもとで。避難成功率を最大化するたあの土地の嵩上げパターンを求める問題として定式化した。そして、最適化(解探索)プロセスに氾濫シミュレーションと避難シミュレーションの両方を含むという問題のハイブリッド性に注意し、解探索の過程で氾濫解析の回数を省略できる二段階解探索手法を提案し、モデル地域への適用を通じてその有効性を検証した。また、この種の問題を解くことは、単に設計問題の解を得るにとどまらず、氾濫原におけるハード対策とソフト対策の関係を探る上でも有効であることを指摘した。ただし、本年度の検討では、対象地域を矩形メッシュに区切って嵩上げ計画を取り扱うなど、未だ、基礎的な段階を脱していない。今後、本年度に提案した手法をより実際的なものにするため、詳細な街路網を陽に含んだ取り扱いや、嵩上げ以外の二次堤防など対策を含めた場合の近似探索手法などについて検討を進めて行く予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
水工学論文集(土木学会) 49巻
ページ: 469-474
Proc.of Int.Conf.on Monitoring, Prediction and Mitigation of Water-related Disasters
ページ: 323-328