研究概要 |
本研究では,2000年東海豪雨時における,地形・降水量と道路交通解析,実データに基づく速度別走行経路図を短時間単位で表示する動画シミュレーション開発(動画解析),交通評価分析,徒歩,公共交通を含めた手段別交通実態分析を行うことを研究目的として行った. 1)地形・降水量と道路交通解析と,実データに基づく速度別走行経路図を短時間単位で表示する動画シミュレーション開発については,前年度(16年度)においてほぼデータ解析等は完了して,今年度は詳細な分析・説明を加えて,地理情報システム学会講演論文集(査読付き論文として掲載予定)に発表する取りまとめを行った. 2)交通評価分析については,豪雨時の走行体験ドライバーの意識データから,どの程度の豪雨下で,激しい渋滞の程度の時に,帰宅出発行動を遅らせたり,取りやめたり,経路変更をしたりするのかの,行動変更モデルを比較的高い精度で構築する事ができた.この結果,送迎目的,出勤・帰宅目的が比較的出発変更率が高くなる要因となっており,また,降雨量では30mm以上,速度では15km/hr以下の範囲において特に走行距離10km以上になるドライバーの出発変更率が高くなる傾向がわかった. このモデルにより,今後の豪雨時の自動車交通行動の予測と交通評価がある程度可能となったものといえる.(土木計画学研究・論文集にて掲載済み) 3)徒歩,公共交通を含めた手段別交通実態分析 既存研究で行っている調査の範囲では徒歩,公共交通についての十分なデータが得られないことが分かったので,今年度新たに集中豪雨の特に激しかった東海市,大府市における追加調査を行い分析を行った.これより,豪雨当日の徒歩,公共交通帰宅実態が明らかとなった.また,当日の帰宅行動に問題があったかどうかの自己評価には,所要時間などの帰宅困難さが影響していることがわかった.また,今回の豪雨経験は今後,豪雨が予測される帰宅時交通行動に影響を与え,災害時の連絡方法等の理解度等の意識の高さにも関係することなどが示された.
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