研究概要 |
本研究では,ある一定の距離を有する道路区間を対象として,その交通流を連続的に記録したビデオより,画像処理手法により抽出された車両走行軌跡データを基本データとして用い,交通流としての走行危険性評価手法を構築することを目指す.本年度は,以下の2テーマについて取り組んだ. (1)テーマ1 車両走行挙動データに基づく交通流の安全性評価法に関する研究 a)道路交通の安全性を評価するため,定量的コンフリクト指標の適用可能性について検討した.連続撮影ビデオデータより抽出した車両走行挙動データを対象として,車両単独事故・車両相互事故それぞれに対応するコンフリクト指標を求め,各指標の特性を明らかにした. b)上記(1)a)で示した定量的コンフリクト分析指標について事故類型別にコンフリクト指標と事故発生状況との相関関係について分析し,定量的コンフリクト指標の交通安全性評価に対する適用性について吟味した. c)各車両の走行挙動の連続記録データを対象に,データマイニング的な視点を持ちつつ、上記(1)a)で提案したコンフリクト指標を用いて,潜在的な衝突危険性の高い走行挙動を抽出した.加えて,各種統計的な指標に基づき,コンフリクト指標の観点から走行挙動の類型化を図り,潜在的な事故危険性の観点から各グループの意味づけを行う. (2)テーマ2 ミクロ走行挙動分析ならびにコンフリクトシミュレーションの構築 車両走行挙動データに対する統計分析等を通して,コンフリクトシミュレーションの主要サブモデルとなる車両走行挙動モデルの構築を試みた.本研究で取り扱う走行挙動モデルは,道路進行方向の挙動を中心に記述する追従モデル,ならびに道路横断方向の挙動を表す車線変更モデルの2モデルに大別され,回帰分析をはじめとする統計分析手法,ファジィ推論等のソフトコンピューティング手法を活用して挙動解析を行い,モデル化の基本的枠組みを構築した.
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