研究概要 |
この研究は平成16年からの3年計画で長大斜面の変位検知をネットワーク型GPS測量とディジタルカメラを使った画像計測を融合することで実用化しようとするものである. 16年度はネットワーク型GPSの機能と性能を学ぶところから出発した.これはわれわれがこれまで画像計測技術を研究してきたものの,GPSについての経験が不足していたためである.とくにネットワーク型GPSは日本に導入されて7年であり,実用となったのはここ2年程度である.研究費でGPSレシーバ1台とPCを購入して,関係会社の援助を受けてドイツGeo++社のFKP方式のソフトウェアで性能調査を行った.本格的な試験にはレシーバが5,6台必要なため,これは17年度に実施することにして,16年度は国土地理院の電子基準点の受信データを利用した.5点の電子基準点のデータを関係測量会社の解析センターで処理してこれを携帯電話経由で,GPS受信機に送り,その座標の精度と安定性を調べた.成果は発表準備中である. 一方画像計測による変位検知技術は基本的にできあがっているが,能率的な仮説検定の方法とカメラ校正の方法を発展させること,GPS観測点の座標系と画像座標系の接続の方法を解決すること,遠方観測の技術を解決することが残っている課題である.16年度は斜面模型と実際のトンネル斜面を使って変位検知の精度と安定性を調べた.また平面基準点場を使った高速で容易なカメラ校正の方法を開発した.さらにこれまでに進めていた仮説検定の方法をより精密で理論的破綻のない形に発展させた.前2者はすでに国際会議に発表し,仮説検定の方法については現在一部が掲載準備中,続く一部が発表準備中である.
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