研究概要 |
本研究は,不連続体解析を用いて,バラスト軌道の動的破壊挙動を再現し,その構造的問題点を明らかにするとともに,道床を構成する個々の砕石の三次元的挙動を実験的に再現し,高精度三軸加速度センサーを用いて,その挙動を測定するものである。平成16年度は以下の4項目の成果が得られた。1 バラスト砕石現物を入手し,砕石の二次元および三次元形状を測定し数値化した。さらに,砕石形状データを二次元および三次元CADに取り込み,道床を二次元多角形集合体,および,三次元多面体集合体で再構成し,道床に関する不連続体モデルを作成した。2 作成した道床の不連続体モデルに,不連続体解析ソフトウェアを用いて動的な締固め操作を行い,密に締固まった不連続体モデルを完成させた。さらに,完成した不連続体モデルに,正弦波荷重を載荷し,道床の動的破壊挙動に関する予備解析を実施した。荷重の周波数と加速度をパラメータとして,局所的な砕石挙動とダイレタンシー特性に関する時刻歴応答を求め,砕石の並進運動エネルギーと回転運動エネルギー量を算出し,局所的な体積膨張と砕石運動の関係について調べた。3 模型の多角形ブロック内部に,超小型の加速度計を複数個を埋め込んで,砕石の挙動測定のための測定センサーの設置方法について検討した。4 実験室内で,模型の多角形ブロックに外力を加えて測定実験を行い,提案した方法によりブロックの挙動に関する多軸の測走が可能であることを確認した。本年度実施した解析結果より,外力の加速度が小さい場合は,道床は概ね連続体に近い挙動となるが,加速度が大きくなるにっれて砕石の局所的な運動が増大し,道床の挙動に不規則性と非線形性が増大する傾向が得られた。また,道床内部の破壊要因としては,低周波では,道床全体が一体的に動くことによる塑性変位の影響が大きく,高周波になるにつれて,個々の砕石の局所的なランダムな鉛直運動と回転運動の影響が増大することが確認できた。また,多軸の測定の場合,センサーよりのケーブルが多くなることから,現場での応用のためには,センサーとデータロガーの接続方法について工夫が必要であることが明らかとなった。
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