研究課題/領域番号 |
16560488
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
矢口 淳一 八戸工業高等専門学校, 建設環境工学科, 教授 (80342450)
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研究分担者 |
金子 仲一郎 八戸工業高等専門学校, 建設環境工学科, 助手 (70099761)
福士 謙介 東京大学, 環境研究安全センター, 助教授 (30282114)
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キーワード | VNC / 生菌 / 全菌 / Baclight / CTC / DVC / マククロコロニー / 河川水 |
研究概要 |
今年度は、昨年度の研究で確立したVNC状態の細菌を検出する4つの方法を用いて、青森県内5河川と生活排水処理施設においてVNC状態の細菌の存在量を調査した。また河川水を使用して消長実験を行い、水環境中でのVNC状態の細菌の挙動について検討した。河川調査は、浅水川、奥入瀬川、五戸川、新井田川及び馬淵川の5河川について夏期と秋期に実施した。全菌数と生菌数を比較すると生菌数は全菌数より3〜5オーダー少なく、DAPI試薬で検出されるほとんどの細菌が培養できなかった。生菌数は全菌数の1%にも満たないほどしか検出されなかったのに対して、VNC状態の細菌はかなり多く検出された。細胞膜の破損状況を指標とするBaclight法では全菌数の70%以上が生理的活性があり、一方呼吸活性を表すCTC法は20%以下しか検出されなかった。増殖活性を表すマイクロコロニー法とDVC法はその中間の値を示し、採水時期によって大きく変動した。一方、下水については八戸高専生活排水処理施設と青森県内のM浄化センターにおいて、曝気槽流入水、最終沈殿池流出水及び処理水を調査した。3つのサンプルとも河川水に比べて全菌数と生菌数の差は小さく、1〜2オーダーしか違いがなかった。4つの検出法で測定したVNC状態の細菌数は、いずれの方法でもほぼ全菌数と生菌数の中間の計数結果を示した。全菌数に対するVNC状態の細菌の比率を河川水と比較すると、Baclight法では河川水に比べて比率が半分程度に低下し、40%以下となった。他の方法では河川水と大きな差はなかった。馬淵川の河川水を20℃で約70日間振とう培養した消長実験では、培養期間中全菌数はほとんど変化がなかったのに対し、生菌数は1オーダー以上減少した。またVNC状態の細菌数は、4つの検出方法とも培養期間中大きく変動し、マイクロコロニー法とDVC法では全菌数に対する比率は培養50日以上で0.5%以下となった。
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