研究課題
これまで壁板に対する補強効果を確認するために、柱主筋量を多くして壁板の破壊が先行する実験を行ってきたが、実状に合わせて柱軸力を導入し、さらに柱主筋量を減じて、柱の曲げ降伏が起こる模型実験を実施した。使用繊維種類の影響を把握するために、アラミド繊維、ビニロン繊維および炭素繊維ストランドを使用した。補強繊維量を増やしても、穴あきブロックの組積造壁体の耐力増加は殆ど期待できないが、わずかの補強量で、ブロックが破壊して耐力低下を開始するまでの変形を増大させ、大変形時まで耐力低下が徐々に起こるようになる効果が期待できることが分かった。繊維ストランドによる穴あきブロック壁体の補強効果をモデル化し、平成17年度の実験結果も含めて、繊維ストランドによって補強したインフィルブロック壁の性状を説明することができた。インフィルブロック壁をCFシートで筋交い状に補強し、CFシートの端部を周辺フレームに定着する耐震補強方法の開発が中東工科大学で行われているが、この効果を検証するための模型実験を実施した。その結果、筋交い効果で耐力増加は大きくなるが、ブロック壁体の補強効果が得られないので、ブロックの破壊が始まると、無補強壁と同じように耐力低下していくことが分かった。本研究では模型試験体で実験を行っているが、基本的な性状は実際と大きく異なることはないと考えられ、実際のインフィルブロック壁に適用していくための準備として、補強効果を評価して補強量を決めていく手順を示せたと結論できる。平成17年度および本年度の研究成果を第8回連続繊維補強コンクリートに関する国際シンポジウム(FRPRCS-8)の論文として投稿し、審査の結果採用が決定した。
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8th International Symposium on Fiber Reinforced Polymer Reinforcement for Concrete Structures, University of Patras, Patras, Greece (to be published)
日本建築学会大会学術講演梗概集 C-2
ページ: 565-566