研究課題
基盤研究(C)
土壁は、地方によって施工方法や使用材料が多種多様にわたる上、下地の組み方などの仕様が異なる場合の土壁の破壊挙動、とりわけ破壊モードへ与える影響に関して不明な点が多い。そのため、抵抗機構毎に仕様による影響を調べて、力学モデルを用いて各破壊モードに対する影響を考察する方法が、根本的な解明につながり、合理的な手法となる。そこで、本研究では、筆者らの今までの研究成果に基づき、力学モデルに基づいて土壁の抵抗機構を評価するために開発された部分壁体試験体を用いて、全国各地で行われている様々な施工方法や使用材料の調査結果に基づき、使用材料や下地の組み方など相違が土壁の各抵抗機構に対する影響を実験的に調査した。任意の形状の土壁耐力壁の挙動を推定するための部分壁体試験体は、隅角部圧縮部分壁体試験体、貫のこじり部分壁体試験体、純せん断部分壁体試験体で構成されている。部分壁体試験体による推算方法の妥当性に関しては、本研究において、予め、京都・滋賀・秋田の全く仕様の異なる土壁を対象に実大壁と推算値との比較を行い、その妥当性を示した。そして、告示の仕様を基準として、実験変数のみを変化させて下地を組んだ試験体群を全国の施工者からのアンケート調査結果に基づいて計画した。これらの試験体群に対して荒木田・深草・播磨の3種類の土を使用して試験体を製作して実験を行った。最終的に評価検討に用いた試験体は114体であり、以下に知見を示す。隅角部圧縮部分壁体試験体では、壁土の強度が低い場合には下地の影響が現れ、壁土の強度が高くなるとその影響は少ない。貫のこじり部分壁体試験体の最大耐力は、荒壁土の圧縮強度が大きく影響し、下地の影響は少ない。純せん断部分壁体試験体では、壁土の強度が低いときは下地の影響が少なく、壁土の強度が高い場合には下地の影響が現れる。
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すべて 雑誌論文 (20件)
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