実大居室サイズの実験室に針葉樹である、杉材、パイン材、ヒノキ材をそれぞれ暴露し、テルペン類VOC濃度が定常状態になった後、オゾンを強制的に付加し、VOC濃度、超微粒子濃度の変動を調査する実験を行った。実験室は15m^3/hの換気量の機械換気を行い、上記の供試材設置後、195時間はオゾンの発生を行わず、通常の居住状態において供試材から放散されるテルペン類VOCの同定・定量を行った。設置後195時間にオゾンを発生し、その後288時間まで、この状態を続けた。この実験中に測定した項目は、温湿度、オゾン濃度、VOC濃度、ホルムアルデヒド・アセトアルデヒド濃度、超微粒子濃度である。杉材を用いた実験では、供試材からのセスキテルペン類VOCの発生が顕著であり、パイン材を用いた実験では、モノテルペン類VOCの発生が顕著であった。また、ヒノキ材を用いた実験では、セスキテルペン類VOC及びモノテルペン類VOCの発生があった。オゾンを強制的に発生させ、室内オゾン濃度が上昇するとともに、どの供試材を用いた実験においても、テルペン類VOCの濃度は減少し、超微粒子濃度は上昇した。オゾン酸化反応によるテルペン類VOCの消失を評価する指標として、新しく「オゾン反応定数」を用いて、各供試材のオゾン反応を算定した。また、各供試材から発生するテルペン類VOCの種類と、生成される超微粒子の量との関係について考察した。
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