研究概要 |
初年度は、実大居室サイズの実験室に杉、パイン、ヒノキを暴露し、オゾンを強制的に付加する実験を行った。オゾン濃度を上昇させるにつれ、セスキテルペン濃度は減少したが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの濃度変化はみられなかった。パインの場合も、オゾンの付加により、テルペン類VOCの濃度が見られたが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの濃度上昇はみられなかった。ヒノキの場合は、ホルムアルデヒド濃度が若干上昇する傾向が見られた。 二年度は実大居室サイズの実験室に杉材、パイン材、ヒノキ材をそれぞれ暴露し、テルペン類VOC濃度が定常状態になった後、オゾンを強制的に付加し、超微粒子濃度の変動を調査する実験を行った。オゾンを強制的に発生させ、室内オゾン濃度が上昇するとともに、どの供試材を用いた実験においても、テルペン類VOCの濃度は減少し、超微粒子濃度は上昇した。オゾン酸化反応によるテルペン類VOCの消失を評価する指標として、'新しく「オゾン反応定数」を用いて、各供試材のオゾン反応を算定した。また、各供試材から発生するテルペン類VOCの種類と、生成される超微粒子の量との関係について考察した。 三年度は、実大居室に杉材を設置し,実験途中でオゾンを発生させ,オゾン発生前後の知覚空気質申告の差異を考察する実験を行った。知覚気質評価は,嗅覚パネルによる臭気強度,許容度,においの質申告によりなり,VOC濃度はGGIMS法によって測定した。また超微粒子の濃度を測定した。実験開始20分後からオゾンを強制発生させた。オゾン発生後,臭気強度の平均申告値はかすかに上昇したが,その上昇度は有意ではなかった。不快者率はオゾン発生前はほとんど0%であったが,オゾン発生40分後には50%以上の値となった。オゾンとセスキテルペンとの反応によるにおいの質的な変化がみられた。
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