研究概要 |
1.層流境界層内の対流熱伝達率と対流熱伝達熱量の測定 極細熱電対を用いて温度成層風洞の床面近傍で鉛直温度分布を測定した。鉛直温度勾配を直線近似し、温度境界層厚さを定義した。不安定流れ場における温度境界層高さはバルクリチャードソン数によって変化し,平滑面で50〜250mm,粗度面で100〜300mmであった。 2.実験的に定常な大気安定度流れの作成 温度成層装置、気流冷却装置、床パネル加熱・冷却装置で大気安定度流れを作成した。本年度は,気流冷却装置を8℃,床パネル加熱装置を60℃に設定して不安定流れ場を作成した。弱風時は流れの2次元性を確保するのがとても困難であるので,LDVを用いた風速分布と熱電対を用いた温度分布を計測し,流れ場の性状を確認した。風洞の中心ラインであるY=600mmとY=700mm,800mmにおいて鉛直分布を測定した。その結果,温度分布と主流方向の風速分布は断面内でほぼ一様であったが,Y=700mmにおいて一部範囲で下向きの風速が観測された。Y=600mm,800mmでは上向き風速のみであるので断面方向で小さな循環が発生していることも考えられる。平滑面の不安定流れについては非常に不安定であるのでさらに詳細な計測を行う必要があると考えられる。 3.平滑面での対流熱伝達率の測定と基準温度高さの検討 都市ブロックを単純化した平板面の実験条件で床面からの伝導熱量と放射熱伝達量を求めて対流熱伝達量を算出した。基準温度高さは,平均温度の鉛直分布と運動量フラックスから高さ50mmとし,基準温度高さの温度と対流熱伝達量を用いて対流熱伝達率を算出した。 4.対流熱伝達率の実験式の算出とルイス式との比較 バルクリチャードソン数と上空風速を関数とする対流熱伝達率の実験式を非線形回帰分析で算出した。実験ケースが少ない状態で回帰分析を行ったためルイス式との定量的な比較は今後の課題である。
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