調査内容 (1)山形のモミドとコヤの調査研究 前年度の調査結果をふまえ、モミドとコヤの機能および使い方について、聞き取り調査を行った。 稲ワラの循環利用についての調査も実施した。 (2)秋田の水板倉の調査研究 水板倉の構法の類型と立地の特性について調査を行った。 得られた知見 以上のような調査結果から、現在までのところ以下のような知見が得られた。 (1)山形のモミドとコヤの構法と機能 (1)モミドは、自家用および地域内利用のための短期収納を目的とし、夏の高温多湿な山形盆地の気候に対応し、米の品質が低下しない籾による保存を目的としたものである。 (2)流通米は玄米を俵詰めにして出荷される。これは、温室度の変化による品質の定価が著しいので、土蔵への収納が必要であった。 (3)コヤは、このような俵貯蔵の機能にあわせて、収蔵機能と味噌や漬け物などの冬期間の保存食の収納のために、土蔵化された。 (2)秋田の水板倉の構法と立地 (1)水板倉は横手盆地の奥羽山脈の山麓、伏流水に恵まれた地域のみに立地している。 (2)この地域においては、防火、防犯、および鼠害から守るために、池中央に高床としてクラをつくり、その役割を果たしていた。 (3)夏の高温多湿時においては、水上の高床であることによって、冷たい伏流水が冷却効果を果たし、床板をとりはずすことによって、さらにその効果を高めている。
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