研究概要 |
今後の高齢者が居住する上で必要となる「生活支援型高齢者住宅」を,住戸を高齢者仕様とし,住棟には共同生活を行えるスペースを設け,さらに,何らかの人的な生活支援システムを付設している住宅,として定義した。 まず,以上の定義に該当する全国の事例をリスト化する作業を行った。共用スペースを確保した高齢者住宅としては,高齢者向け優良賃貸住宅が主要になると考えられるため,建築学会図書室と高齢者住宅財団に赴き,両機関が収集する資料を閲覧し,ここで得られた全国の高齢者向け優良賃貸住宅のプロジェクト事例と,他の情報によって分散的に得られた事例とを整理し,プロジェクト名,立地,事業者など,基礎的なデータに関するリストを作成した。 そして,リスト化したすべての事例に対し,各々の,供給戸数,住戸規模,住棟・住戸平面図,家賃・管理費,生活支援サービス内容等に関して,実態を把握する資料を送付するよう依頼した。その結果収集された各事例毎のデータを整理し,類型化を行うのに有効な指標を検討した。検討の結果,共用スペースの確保状況による差異が大きいと判断されたため,共用スペースを中心的な指標にした類型化を行った。共用スペースの有無,有する場合には,形態によるタイプ化を行い,一応の類型化は終わったが,来年度も新規に供給された事例のデータを収集して,加えつつ,継続し,類型化についても吟味する予定である。また,類型化した各類型の典型的な事例については,現地に行き,住棟形態と生活支援状況について予備的な調査を行った。 なお,資料の収集・整理作業には,大学院生によるアルバイトを利用した。
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