本研究は、平成16年度〜18年度の3カ年計画によるものである。本年度はその2年目として、昨年の成果をふまえつつ、住民の生活構造から居場所を捉え、地域差や属性差について分析した。特に中高生については具体的な地域施設を対象に、居場所の実態と居場所を構築する要因について分析・考察した。主な具体的内容は次のとおり。 1)地域住民の生活構造からみた居場所について 三重県内の都市部、疎住地、過疎地といった地域性の異なる地域住民を対象に、「自由な時間を過ごす場所」及びその場所に抱くイメージとしての「場所像」に関するアンケート調査を行った。その結果、住民は様々な場所を選択しながら生活を組み立てており、その場所数や施設種は属性や地域によって異なる傾向が見られた。また、利用者の抱く施設像は同じ施設種でも地域や属性によって異なり、逆に、異なる施設種でも同様の施設像を抱くことがあることを明らかとした。つまり、従来の施設種の枠組みと利用者の意識との間のズレを是正することが居場所づくりにおける課題の一つであることを見出した。 2)中高生の居場所について 今日、居場所の必要性が社会的にも課題となっている中高生に焦点を当て、三重県内の中高生を対象に時間消費の場や生活意識についてのアンケートを行い、中高生の生活構造の特性を明らかにした。また、居場所となっている具体的な地域施設を取り上げ、施設利用者が施設に抱く場所像や施設での対人関係、利用内容、良くいる場所や居方を調査し、居場所を構築している施設環境の要因について分析・考察した。 今後は、地域住民アンケート調査により抽出された主要な居場所に関し、中高生以外の属性についても利用者の過ごし方や意識に関する調査を行い、居場所づくりに求められる要件を明らかにする予定である。
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