研究概要 |
本研究は,市町村合併を契機とした,よりよい施設整備の方策を探ることを目的としている。市町村合併にはさまざまな側面があり,従来から研究が行われている行政学や財政学などの観点も重要であるが,本研究は施設整備の一手法という都市基盤施設の整備面から取り組みものである。平成16年度は,過去の市町村合併の事例として大阪府の東大阪市を対象とし,市域全体の公共施設整備の経年変化および庁舎建築の変遷を調査した。その結果は,以下の通りである。 1.文献調査より東大阪市の合併に至った理由とその意義を調査し,統合によって大阪市の郊外というイメージを無くし独自の発展を目指した事が分かった。 2.公共施設の配置計画を分析し,図化するとともに,市役所職員へのヒヤリングを実施した。そして、人員の集中化と情報提供部署の分散に対して、一元的な行政提供サービスが縦割り行政等の影響もあり効果的に行えない等の運営面での問題が指摘されたが、住民側の感想としても利用状況が「悪くなった」、「変わらない」という評価が多く見られ、情報ネットワークが効果的に機能していないことが伺えた。 3.市町村合併によって公共施設配置が受ける影響の傾向を4つに分類し,庁舎が合併に最も影響を受け、ネットワーク化される傾向があることが分かった。 4.東大阪市旭町庁舎(旧枚岡市庁舎)の合併前後の変容を調査し,合併直後は不要になった議場とその周辺が倉庫ならびに一般事務室に転用されているが、特に大きな改修は無いこと,最上階に設置されていることでアクセスの面で用途が限定されたことが判明した。
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