研究概要 |
市町村合併にはさまざまな側面があり,従来から研究が行われている行政学や財政学などの観点も重要であるが,本研究は施設整備の一手法という都市基盤施設の整備面から取り組みものであり、過去の市町村合併が公共施設整備に与えた影響を明らかにすることで,今後合併を進める自治体における適正な施設整備のための基礎的資料を示すことを目的としている。 1)実態の把握 具体的な対象地区として、東大阪市と篠山市を対象とし、合併に至った理由とその意義、公共施設の配置計画、公共サービスの実態などを明らかにするとともに、市役所職員へのヒヤリングなどから、さまざまな課題を指摘した。 2)建築物のコンバージョンという視点 市町村合併によって公共施設配置が受ける影響の傾向を4つに分類し,庁舎が合併に最も影響を受け、ネットワーク化される傾向があることを指摘するとともに、庁舎の合併前後の変容を調査した。 3)公共施設ストックの管理運営という視点 公共施設の民営化の事例として指定管理者制度に着目し、将来の大規模修繕への対応などが未熟であること、初期投資など維持管理にとって重要な施策が期間が限られている本制度では困難など、公共施設の整備を考える場合の配慮が求められることを明らかにした。 4)市町村合併が想定されるニュータウンにおける地域施設整備 市町村合併が想定されるニュータウンとその周辺地域における地域施設の役割把握として、郊外住宅地における地域施設の実態調査を行った。その結果、地区計画が施設発生に影響を及ぼしていることが明らかになったが、複数の市町村にまたがるニュータウンの場合、地区計画を合併でどのように統合するのかが課題であることを指摘した。 5)以上、地域計画から、用途転用まで含めた建築計画まで、市町村合併による地域施設整備に関してさまざまな研究を実施し、最後に適正評価モデルを全員で検討した。
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