研究概要 |
都市空間のシークエンシャルな雰囲気の変化と、その場を構成する様々な建築や街路樹さらに看板・ストリートファニチャーなどの装置の中で、特に意識されるエレメントを抽出して両者の関係を明らかにすることにより、都市空間の「気配」をとらえ、都市空間の構造を明らかにすることを目的に下記の分析を行った。 まず、典型的な特徴を有する都市空間を研究対象として選出するために、政令都市を中心に多数の都市空間を挙げ、検討の結果、首都圏では「丸の内地区」「御茶ノ水地区」「銀座地区」「渋谷地区」を、地方都市では「札幌駅前地区・大通り公園地区」「仙台青葉地区の2地区」「大阪御堂筋地区」「京都河原町地区」の10地区を調査・実験対象地区として決定した。 実験はまず雰囲気の変化を定量的に明らかとする心理量分析を行うため,SD法による心理実験を行うこととした。過去の一連の街路空間の研究を基に、この研究で得られた心理評価構造の心理因子軸である13軸に、今回の都市空間の評価に必要と考えられる評定尺度を多数検討し、その結果17の形容詞句対による7段階評定尺度を心理実験に用いることとした。 また意識の上で重要なエレメントを抽出するため、その場で印象にのこるエレメントを自由に指摘させる指摘法実験(指摘量分析)を行うこととした。実験は上記10地区12から72haの範囲で、概ね200mグリッド上の9から15地点において、現地にて実験を行った。 その結果、各対象地区の心理量を明らかとし、心理量のシークエンシャルな変化を捉えた。一方指摘法実験からその場近辺のエレメントのみで構成される空間、400m以内のエレメントも指摘される空間、さらに遠方のエレメントも指摘される空間、さらに固有のエレメントが多数指摘される空間と不特定なエレメントが指摘される空間など、それぞれのタイプの構成の特徴を明らかにした。
|