都市空間のシークエンシャルな雰囲気の変化と、その場を構成する様々な建築や街路樹さらに看板・ストリートファニチャーなどの装置の中で、特に意識されるエレメントを抽出して両者の関係を明らかにすることにより、都市空間の「気配」をとらえることが目的である。 前年度までの心理量分析・指摘量実験による10都市の結果をもとに指摘エレメントの性格や距離を含めて記号化し、都市ごとに記号表記して都市空間の構造を客観的に明らかにした。対象地区は「丸の内」「御茶ノ水」「銀座」「渋谷」「札幌駅前・大通り公園地区」「仙台青葉区の2地区」「大阪御堂筋地区」「京都河原町地区」の10地区である。 都市における距離が、都市空間の構造と大きく関っていると考え、特定できるエレメントのなかで地点間距離200mを目安に、地点から直径200m以内のものは《近》エレメント、200m以上600m以下のものは《中》エレメント、600m以上のものは《遠》エレメントと分類し、それ以外の位置の特定できない街路樹や看板等を《不特定》エレメントとして分類した。 次に、105地点の空間構成のパターンを類型化し、その特性を記述するため、105地点を[中][遠]エレメントの有無で4グループに類型化した。これは、その地点を最も印象付けるエレメントが、[近][不特定]エレメントであるが、都市空間という面的な拡がりを持つ空間において、[中][遠]エレメントの指摘は、都市を認知するにあたり重要であると判断したため、以下の類型化を行った結果、4グループに分類することが出来た。4グループの概要は次の通りである。A:[中][遠]共に無く、その場のエレメントのみで空間を印象付ける。B:[中]有り[遠]無しで、地点前[中]が印象付けている。C:[中]無し[遠]有りで、遠くのエレメントが空間を印象付ける。D:[中][遠]共に有り、地点前後と遠くのエレメントが空間を印象付ける。
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