都市空間は、建物・街路・広場・樹木・看板・ストリートファニチャー・装置等の様々なエレメントにより構成されている。これらの中で印象に残るエレメントの構成が、その都市空間のアイデンティティを創出し、さらにこれらの構成が都市の空間の雰囲気を形成していると考えられる。その場を構成するエレメントの中で、特に意識されるエレメントを抽出し、また都市空間の「気配(雰囲気)」を捉え、両者の関係から空間構造を明らかにすることが本研究の目的である。そのため、都市空間で人々の印象に残るエレメントを抽出する指摘法実験と都市空間の雰囲気を定量的に把握するための心理評価実験(SD法実験)の2つの実験を首都圏を中心に計17地区で行った。指摘法実験から指摘されたエレメントを《近距離》《中距離》《遠距離》《不特定(複数個)》の4つに分類し、指摘量ドットマップ図を用いて分析を行った。さらに、指摘エレメントの構成を類型化し、その特徴を捉えるために、各地点における指摘量の構成の割合を基に5タイプの<指摘エレメント構成型>を捉えることができ、そのタイプの特性を明らかにした。心理評価実験から、各地点の心理評価を捉え、18心理評定尺度の平均値を変量とした因子分析を行い、7心理因子軸を抽出し、都市空間の心理評価構造を明らかにした。また、心理評価の傾向から意識のタイプとして、5タイプに類型化<意識型>した。これら<指摘エレメント構成型><意識型>のタイプを地図上に布置させた図を用いて、都市空間を比較・分析することにより、都市の雰囲気を大きく変化させる要因として、都市の地形、街路の形状、多彩なエレメント量の増減が密接に関係していること等、都市空間の構造を明らかにすることができた。
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