研究課題/領域番号 |
16560555
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
門内 輝行 京都大学, 工学研究科, 教授 (90114686)
|
研究分担者 |
村山 武彦 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00212259)
木村 忠正 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00278045)
|
キーワード | 人間-環境系 / デザイン / 創発 / 記号過程 / メタファー / アブダクション / シンセシス |
研究概要 |
本研究の目的は、人間-環境系のデザインプロセスを記号論の視点から分析し、創発的なデザインが生成される仕組みを探求することである。本年度は、次の項目について研究を行った。 1.創発的プロセスとしてのメタファーの研究 メタファー(metaphor)とは、「ある事柄(未知)を別の事柄(既知)で理解する」ことである。デザインは未知のものを創造する営みであるから、メタファーが創発的なデザインプロセスに深く関与していることは疑いを入れない。そこで、デザインプロセスにおけるメタファーの役割の分析や新たなメタファーを生成する実験を遂行することにより、創発的プロセスの仕組みを探求した。 2.創発的プロセスとしてのアブダクションの研究 アブダクション(abduction)とは、「驚くべき事実Cが観察される(C)。しかしもしAが真であれば、Cは当然の事柄である(A→C)。よって、Aが真であると考えるべき理由がある(A)。」という推論である。建築に対するユーザーの要求Cが与えられたときに、A→Cとなる建築Aを導出することがデザインであるように、デザイン行為がアブダクションの構造を有していることに着目し、創発的プロセスの解明を推進した。 3.シンセシスの科学としての人間-環境系のデザイン方法論の構築 以上の一連の研究を通じて、デザイン対象の認識に始まって、デザインプロセスの展開、デザインの評価に至る人間-環境系のデザインに関わるすべてのプロセスを記号過程として記述できることを体系的に示すことにより、シンセシスの科学としての人間-環境系のデザイン方法論を構築する可能性を探求した。
|