研究概要 |
平成17年度は、国内の日系ブラジル人コミュニティについては、神奈川県本厚木市と平塚市の周辺地域を中心に、ブラジル系スーパーにおいて対面アンケートを行い、その調査データを整理して、生活・行動圏の実体把握を行った。 国内の調査地との比較を目的として、国外の調査を行った。マジョリティグループの人口比率が比較的高くかつ安定したエスニック・コミュニティを持つ欧州(ドイツ(ベルリン・ハンブルグ),フランス(パリ),イギリス(ロンドン・バーミンガム・ブラッドフォード・リーズ・マンチェスター・レスター))の調査を行った。欧州においては、各エスニック・グループが独立して存在している北米型モザイク・コミュニティではなく、持続可能社会・都市をつくる手法の一つとして"ソーシャル・ミックス"(社会的統合)が主な議題の一つであることがわかった。 また、これらのエスニック・グループの空間利用調査により日本のエスニック・グループ・コミュニティは、以下の特徴を持つことがわかった。1.空間的に分散して居住している場合が多く、実質的にコミュニティといえるほどではない。2.街路や公共スペースなどコミュニティの顔となる場所が存在しない。3.在留外国人たちは移動販売店や祭り、ミサ他のイベントなど、代替コミュニティ・スペースを持つ。その中で、在留外国人たちは移動販売店や祭り、ミサ他のイベントなど、代替コミュニティ・スペースを作り、公共スペースの重要性がわかった。その理由として、(1)コミュニティがその顔を持ち、他者に対してそのアイデンティティを集中的に表現する場所であること、(2)公共スペースが他者と出会うための場所、すなわち、ソーシャル・ミックスが行われる場所である。
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