研究概要 |
子供の情報機器使用と住空間及び空間認識との関係について継続研究を行った結果、次の諸点を得た。計画・方法(10)については、住宅平面の分析を含めて行い、現在の住空間のプランは,玄関から子ども室に直接行くことのできるものが多く,子ども室は年齢と共に孤立する傾向にある。情報機器の使用と子どもの住空間及び空間認識との関係については,情報機器の依存に子ども室の孤立性が間接的に影響を及ぼしている可能性と,携帯電話への依存が公空間における行為に影響を及ぼす可能性が窺えた。家族との会話の状況は、情報機器への依存に予想以上には影響を受けない結果である一方、情報機器の利用に際して、同一空間内において家族の存在を忘れる状況等がみられ、空間認識への影響の可能性が考えられた。計画・方法(7)(8)(11)についての試行的実験からみた考察に関しては、大学生と小学生の実験結果の差異から、小学生について、(1)成長しても現在と同様に、虚空間としてのモニターより、実空間としての実際の壁の方に実体性がある。(2)成長し情報機器との接触期間が長くなると大学生と同様に、モニターの方に実体性が増大する。という二通りの解釈が存在し得た。空間認識は距離感や共存感に繋がることから、コミュニケーションをとる上で重要であり、実空間を主とし、情報空間(虚空間)は、例えばそれを補うような形で位置づけるなどとする工夫が住環境計画に必要であると考える。計画・方法(12)については、国内の文献調査を継続して行った。計画・方法への追加事項としたヒアリング調査については、こども環境学会の研究者や、こどもNPO等に対して実行し、また、こども環境学会関連の講演会等への参加等々も行い、有意義な一定の成果を得た。計画・方法(13)の研究成果については、日本建築学会の大会と中国支部に発表、更に、こども環境学会に審査論文1編を年度末に投稿、現在審査中である。 (800文字)
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