昨年度は人口10万人以上の自治体を対象にしたが、今年度は人口10万人以下の自治体368市を対象に住宅改修の進め方状況を郵送アンケート調査し、253市より回答を得(回収率68.8%)、昨年度の206市データと合わせ、分析を行った。改修とサポートのシステムを構築するために得られた知見の概要は以下のとおりである。 1)介護保険以外に住宅改造助成事業を実施している自治体は約8割にもなる。 2)助成事業を含めて考えると、改修システムの制度化は少ないが、実質的にアドバイザーを派遣している自治体を含めると半数近くにのぼる。その中で、介護保険に改修システムが適用されている自治体は約3割あるが、介護保険独自ではきわめて少なく、現時点での高齢者の住宅改修システム形成の多くは住宅改造助成事業と併用されており、これの介護保険への適用がシステム形成の一つの方法であると考えられる。 3)介護保険による住宅改修は、改修システムがない場合担当事務職員が書類でチェックするにとどまるが、システムがあれば、改修前の訪問相談・診断に重きをおいて専門家が現地に赴いている。住宅改造助成事業ではほとんど改修の前後で訪問し、相談・診断・確認がなされ、システムとしては介護保険のそれを上回っている。 4)改修システムを構成するアドバイザーは多くが5人までで、職種は大きく<建築士中心型><OT・PT中心型><建築士+OT・PT型>にわかれ、10万人以下の自治体ではそれ以外に<福祉士等型>が加わる。出身も<民間型><行政型><行政+民間型>と多様である。 5)公的機関や民間団体と連携している自治体は少ないが、システム形成において特に民間のNPOや建築士会など地域の建築関係団体との組織的協力関係の構築が重要になる。 6)介護保険に改修システムがあれば、ケアマネジャーや施工業者へのサポートが行われやすく、サポートシステムを形成する上でも改修システムの形成は重要である。
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