介護保険による高齢者の住宅改修において、改修とサポートシステムの必要性と意義を明らかにし、都市の状況に応じた改修システムの構築案を提示した。また、質の高いサポートシステム構築のために、システムを支える母体組織の形成方式を提示した。一方、ケアマネジャーと施工業者から求められる実践的技術指針の一部を提示した。 1)システム構築論 改修システムがある自治体はかなり少なく、残りの大半は担当の事務職員任せである。改修システムのレベルは都市規模により異なり、10万人以上都市では改修件数が多いため、アドバイザーは民間の専門家に依存し、改修前後に現地に赴き相談・診断・改修箇所の点検・使い方の指導を行っているケースが多い(レベル4)。これに対し、10万人未満都市では改修件数が少ないため専門家は行政職員の兼務が多く、改修前の相談・診断に重きをおいている(レベル3)。 したがって、改修システムがない自治体では、改修システムを持つこと、特に、10万人未満の自治体では行政職員が兼務し、レベル1(書類チエック)以上をできるところから始めることが考えられる。独自の住宅改造助成事業に改修システムがあれば、そのシステムを適用することが先決で、レベル3だと適用の可能性は高くなる。すでに改修システムがある自治体は、民間のアドバイザーを中心にレベル4を目指すべきであろう。 ケアマネジャーと施工業者に起因する問題が多くの自治体で派生しており、改修システムとは別にサポートシステムが必要であるが、その構築は改修システム以上にきわめて難しい現状である。システムを支える母体組織が必要であり、その形成方式として4つを抽出した。 2)技術指針論 住宅改修の主要な4つの改修空間を抽出した。また、各空間において定型的な解決策はなく、ケアマネジャーや施工業者が様々な手すり(種類・形状)や段差解消方法等を駆使した技術的解決策を提示できるための技術指針を一部明らかにした。
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