研究課題/領域番号 |
16560565
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
益田 兼房 立命館大学, COE推進機構, 教授 (50313317)
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研究分担者 |
上野 邦一 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (70000495)
板谷 直子 (牛谷 直子) 立命館大学, COE推進機構, ポスドク研究員 (90399064)
李 明善 立命館大学, COE推進機構, ポスドク研究員 (20434714)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | 東アジア建築史 / 世界遺産 / 保存手法 / 景観形成 / 都市防災管理 |
研究概要 |
東アジア諸国では、歴史的都市集落空間の保存体制・保存状況等に進展が見られる一方、経済的発展著しい現代の都市や集落の景観は、一般的に無秩序で雑然としている。本研究では、これら東アジア諸国の歴史的都市集落空間の保存手法について現地調査に基づき比較研究を行った。 我が国でも歴史的な価値が高い「広島県福山市靹地区」では、中心となる歴史的港湾に横断道路橋建設が予定されており、世界遺産評価にあたる国際NGOイコモスでは、建設計画見直しの要望を数回出すなど、歴史的環境及び景観が破壊の危機にある。また、重要伝統的建造物群保存地区である「竹富町竹富島」は、地区の外周に道路を建設し、自動車の地区内通過の排除を目指しているが、この道路周辺での開発行為が多発し、伝統的な家屋配置の維持を困難にしっつある。これと同様の事例は、周辺の「八重山の島々」でも散見される。 「川越市川越重要伝統的建造物群保存地区」では、周辺都市計画の高い容積率による高層ビルの建設が、歴史的景観の保存を困難にしている。また、世界遺産「原爆ドーム」周辺では、開発を抑制して文化遺産の価値を担保するべき緩衝地帯の役割が充分でなく、広幅員道路や前面道路の反対側に公園等がある場合の緩和規定による建築物の高層化を阻止できない。 フィリピンの世界遺産「ビガンの歴史的都市」は、歴史的な都市景観の保存を前提とした都市計画が行われ歴史的都市空間が続いているが、静かで落ち着いている。一方、韓国済州島「城邑民俗村」と周辺では、文化財の原型保存と経済発展の開発の要請が移住団地という事例を生み出している。 総じて、都市化がもたらす伝統的な生活文化の消滅が、歴史的都市集落空間の景観に変化を起こしている。歴史的都市集落空間の保存と、経済的発展が要請する開発圧との整合性をいかに図るか。これは、現代の東アジアに共通する歴史的都市集落空間周辺の都市計画課題である。
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