研究課題/領域番号 |
16560570
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研究機関 | 鳥取環境大学 |
研究代表者 |
浅川 滋男 鳥取環境大学, 環境情報学部, 教授 (90183730)
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研究分担者 |
西山 和宏 独立行政法人奈良文化財研究所, 飛鳥資料館, 研究員 (10290933)
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キーワード | 大社造 / 掘立柱建物 / 独立棟持柱 / 心御柱 / 丹塗り / 出雲大社 / 巨大本殿遺構 / 高床建築 |
研究概要 |
初年度におこなった第1回シンポジウム「山陰地方の掘立柱建物」(弥生・古墳時代)に引き続き、第2年度は第2回シンポジウム「大社造の起源と変容」を2005年9月20〜21日に松江で開催した。シンポジウムは、セッション1「大社の創建と大社造の成立をめぐって」と題して、セッション2「考古学からみた山陰の掘立柱建物跡」、セッション3「出雲大社境内遺跡出土本殿遺構の復元」、セッション4「中近世の杵築大社造営をめぐって」、セッション5「総合討論」によって構成される。セッション1で古代出雲の神観念と初期祭祀施設の概要を論じ、セッション2では昨年度までのまとめとして「古墳時代までの9本柱建物」を整理した上で、飛鳥時代から鎌倉時代までの掘立柱建物を整理した。セッション3では、2000年に発見された出雲大社境内遺跡の大型本殿跡(鎌倉時代初期)について、3人の研究者がそれぞれの復元案を示した。セッション4では、中世から近世にいたる出雲大社の遷宮と造替について、おもに文献史学と建築史学の立場から検討を加えた。そして、セッション5の「総合討論」では、昨年のシンポジウムの成果をあわせて、大社造本殿の起源と変容に関する討論を展開した。現状の認識としては、古墳時代中期〜奈良時代に展開する9本柱の掘立柱建物こそが大社造本殿の源流であり、おそらく古墳時代に成立していた祭祀施設としての9本柱建物が7世紀後半における官社制成立後、「神社本殿」として整備されていくものと推定しうるであろう。出雲大社本殿については、出雲地域に多数存在した9本柱の大社造本殿の伝統をうけつぎながらも、ごく早い段階から大和や伊勢の影響をうけ、「心御柱」や「宇豆柱」(独立棟持柱)、あるいは丹塗りの塗装などを導入し、特異な変容を遂げたものと考えられる。
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