研究概要 |
本年度補助金2,100千円によって、現有設備品の高エネルギガンマ線吸収法密度測定装置を改良を立ち上げた。この装置により、Ge-Te系液体半導体のTe側の試料について構造変化の温度領域の密度を再測定し、従来の結果を確認するとともに申請者の導出した不均一構造モデルによって解析し熱膨張係数を決定した。得られた結果をまとめると、 (1)熱膨張係数の負のピーク温度で表される構造変化の"転移温度"は15at.%Ge近傍で極大なる。 (2)15at.%Ge近傍で熱膨張係数の絶対値は極大となり半値幅が最も小さくなるすなわち構造変化がこの組成で最も鋭くなる ことを見出した。 密度測定と平行しての音速の測定を行い、比熱のデータと組み合わせて、構造変化に関る熱力学応答関数のうちダーケン安定性の構造変化に関る部分を決定し、15at.%Ge近傍の溶液では構造変化が濃度揺らぎを誘起することなく進行すること初めて示すことができた。結果の一部はオーストリアで開催されたTOFA2004-Viennaで口頭発表した。論文はMonatshefte fur Chemie誌の特別号(会議のプロシーデングス)に印刷中である。更に結果を日本金属学会135回秋田で発表した。 また本研究の海外共同研究者であるC.Bichara博士をフランスより招聘し、熱力学応答関数の結果の討論、中性子回折及び第1原理分子動力学の結果との比較検討を行った。その結果は、Ge-Te系液体半導体の構造変化が主にGe原子の周りの局所的な配位の急激な増加によってもたらされることを強く示唆しており、データを取りまとめ共同論文として投稿準備中である。
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