研究概要 |
ランタノイド系のTm^<3+>,Yb^<3+>,Lu^<3+>を置換したZr_<0.98)M_<0.02>W_2O_<7.99>(M=Tm, Yb, Lu)固溶体およびZr_<0.96>M_<0.04>W_2O_<7.98>(M=Tm, Lu)固溶体の合成にはじめて成功した。各固溶体はM^<3+>を置換することにより、格子定数、相転移温度が低下した。これはM^<3+>を置換することにより、電気的中性条件を満たすように生成した酸素欠陥が影響を及ぼすためであろう。また、Zr^<4+>サイトへ置換したM^<3+>の周囲にWO_4配向の無秩序空間が、低温相で存在することによると考えられる。 組成依存ではM^<3+>の置換を増加させるにつれ、格子定数、相転移温度の低下が見られた。M^<3+>の置換量が増加することにより、WO_4配向の無秩序空間の数も増加し、格子定数や相転移温度の低下率も高くなると考えられる。 置換イオン種依存では、各置換イオンによって格子定数、相転移温度の低下が異なることが分かった。配向秩序度の温度依存から、置換イオン種により、WO_4配向の無秩序空間の大きさが異なることが分かった。格子定数や相転移温度の低下率が異なるのは、無秩序空間の大きさが関係しているためと考えられる。これまでWO_4配向の無秩序空間の大きさはイオン半径に依存するとされてきたが、今回の研究でイオン半径だけでは説明がつかないことを明らかにした。しかし、WO_4の無秩序空間の大きさを決定している真の要因まで解明することはできなかった。この無秩序空間を詳細に解明することが、今後の課題である。
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