研究概要 |
水溶性フェノール樹脂-カーボンブラック-エチルオルトシリケートとの組み合わせについて、フェノール樹脂量が生成炭化ケイ素の粒径に及ぼす影響について詳細に検討した。カーボンブラックの添加量が多くなるほど、生成粒子に形状が転写される傾向が増大し、破砕処理は必要であるが、ほぼ添加カーボンブラック粒子のサイズを反映したSiCが得られる(M.Narisawa et al.,J.Ceram.Soc.Japan,115(2),141-146(2007).)。このような傾向はケイ素源としてアルコキシドではなく、熱硬化性のシリコーンポリマーを利用した場合にも見られるが、形状のみならずSiCの生成速度においても、カーボンブラック粒子のサイズが影響している点が相違している。カーボンブラック-樹脂間の界面が特にSiCの生成を促進する効果があるためか、あるいはカーボンブラック会合体ののネットワークが熱炭素還元時のガスの脱離に影響している可能性が考えられる。 一方、相溶のケースではあるがポリマーブレンド系における炭化ケイ素繊維合成へのポリメチルシランの添加効果について、M.Narisawa et al.,J.Ceram.Soc.Japan,114(2),511-516(2007)にて報告を行った。また炭化ケイ素前駆体ポリマーに金属塩化物を添加した場合のSiC-ケイ化物複合体の生成過程と微細構造について、M.Narisawa et al.,J.Ceram.Soc.Japan,114(2),558-562(2007)にて報告を行った。セラミックス収率の異なる非相溶のプレカーサーを混合、焼成プロセスを利用した中空糸製造の可能性について、"Melt-Spinnable Blend Polymers of Polycarbosilane-Polysiloxane for Synthesis og Silicon Carbide Microtube Structures"(The 3^<rd> International Symposium on Advanced Ceramics,11-15^<th>,Dec.,2006,Singapore)と題する発表を行った。 カーボンブラック分散系においてはさらに、窒化ケイ素の生成過程についての研究にも着手した、炭化ケイ素の場合と異なり、形状のコントロールは困難であるが、α-Si3N4の生成温度範囲や生成速度がケイ素源の性質を鋭敏に反映することが分かった。
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