研究概要 |
本申請研究はSi、C、Oの各元素種が、分布を有しつつ、連続的に密着した状態にある不均質な前駆体を作り出し、焼成後に生成するセラミックスの形態および性質を自由にコントロールすることを目的としている。第1に炭素源とフェノール樹脂やカーボンブラック、Si源として金属アルコキシドや高セラミックス収率シリコーン樹脂を用いたケースについて、前駆体段階での分散状態、高温熱処理によって、SiC粒子が生成する過程について調べた。フェノール樹脂など炭素源として、ポリマーを使った場合には、ゲル化時の乾燥方法ややフェノLル樹脂の粘度に関連して相分離構造が惹起され、これが生成粒子の形態に反映される(J.Appl.Polym.Sci.,94,1612-1618(2004).)一方カーボンブラックを炭素源に使った場合にも、粒子サイズはCB粒子のサイズを反映するが、分散によって形成される2次的な構造が、生成粒子に反映される結果は得られなかった。またSi源として、シリコーン樹脂を使用する方が、ケイ素系アルコキシドに比べて、高い収率が得られる(J.Ceram.Soc.Japan,116,121-125(2008).)。 本研究に関連して、市販のSiCナノ粒子をモデルに用いて、SiC粒子の分散構造が調整されたスラリーの粘弾性的性質に及ぼす影響について系統的な調査を行い、粒子の配列過程と粘度のずり速度依存性との間に深い関係のあることが解明された。SiC粒子含有前駆体スラリーの含浸、コーティング用途に関連しての重要な知見と位置づけられる(J.Ceram.Soc.Japan,115,982-986(2007).)。またポリカルボシランとシリコーンオイル混合系においても、溶融紡糸過程に関連しての相分離構造の惹起が観測された。しかしながら中空糸合成などの形態制御に関しては、ガスの過飽和溶解の方が重要なファクターであると位置づけられる(Key Eng.Mater.,352,69-72(2007))。
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