Sm_2O_3-MoO_3-B_2O_3系のガラス化範囲を決定した。21.25Sm_2O_3-63.75MoO_3-15B_2O_3(mol%)ガラスだけが唯一ガラス化することが明らかとなった。通常の電気炉による熱処理および連続発振のNd:YAGレーザー(波長1064nm)の照射すなわちサマリウム原子加熱法により21.25Sm_2O_3-63.75MoO_3-15B_2O_3(mol%)ガラスから光学非線形性結晶Sm_2(MoO_4)3が析出する。X線回折、マイクロラマン分光および第二高調波発生の測定から析出しているSm_2(MoO_4)_3結晶は中心対象性を有しない斜方晶β'相であると考えられる。非線形性β'-Sm_2(MoO_4)_3結晶からなるラインがYAGレーザー照射によってガラス表面に描かれた。照射条件はレーザーパワー0.4W、レーザー走査速度1-10μm/sである。特にレーザー走査速度1μm/sでは非常に均質なラインが得られた。またレーザーの走査速度が25μm/sと速い場合には結晶化は起こらず、屈折率変化だけを与える。さらにレーザー照射領域の結晶化機構を明らかにした。本研究によって赤外線レーザー(サマリウム原子加熱法)による希土類を含有する非線形/強誘電体結晶のガラスへの書き込み技術が確立された。
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