研究概要 |
BCN化合物は、ホウ酸メラミン結晶の形態を維持し、出発物質の結晶子を制御することによりmmオーダーまで上げることができ、成型も容易で単純な1軸加圧により板状や柱状の成型体を得ることができる。このBCN化合物をリチウムイオン2次電池の極材料として用いるため、サイクリックボルタンメトリ(CV)により基礎的検討を行った。作用極としてBCN化合物成型体、参照極・対極として金属Liを用いてCVを行ったところ、0.2-0.4v付近に、Li^+のインターカレーションに起因すると考えられるピークが確認された。しかし,BCN化合物のみの成型体は、電解液に浸漬すると外形が容易に崩れるため外形を維持するためにバインダであるPTFEを60wt%以上添加しなければならない。充放電容量を高めるためには、含有率をより一層高める必要があり、成型用バインダを工夫するか、結着性を高めるために何らかの表面処理を行う必要があることが分かった。 本法で合成したBCN化合物は、比較的高い比表面積を有し、導電性を示すことから電気二重層キャパシタの電極材料としての応用が期待できる。その適用の可能性を検討するため、ホウ酸メラミンを出発物質として得られるBCN化合物の各種物性を評価すると共に、電解液としてIMH_2SO_4を用いてサイクリックボルタンメトリーによるBCN化合物の電極特性の評価、クロノアンペログラムによる電気二重層容量の測定を行った。その結果、BCN化合物の比表面積は168m2/gであり、電気二重層容量は27.8F/gであった。また、サイクリックボルタンメトリーより、0.8V(vs. BCN electrode)という低い印加電圧において、アノード側の電極のみから気体を発生する特異な現象が認められた。
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