研究課題/領域番号 |
16560600
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
汪 文学 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (40240569)
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研究分担者 |
高雄 善裕 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (30108766)
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キーワード | 炭素繊維強化複合材料 / CFRP / アルミ合金積層複合材料 / ガルバニック腐食防止 / 表面処理 / 陽極酸化 / ゾルゲル法 |
研究概要 |
FMLは繊維強化樹脂(FRP)層と金属層が交互に積層されたハイブリド材料である。FMLは疲労特性等が優れない金属と衝撃特性等が優れない繊維強化樹脂を組み合わせることで欠点を克服する目的で作られた。FRPの繊維にアラミド繊維とガラス繊維、金属にアルミニウム合金2024-T3を使用したものが作られ、それぞれARALL_【◯!R】、GLARE_【◯!R】として商業的に利用されている。特にGLARE_【◯!R】は次期大型民間旅客機Airbus A380の胴体下部外壁等に利用されることになり、現在生産が進められている。過去にガラス繊維に比べ軽量化が期待できる炭素繊維とアルミニウム合金を使用したFMLの開発も行われた。しかし、炭素とアルミニウムの接触によるガルバニック腐食問題が生じる。従って、これを克服したFMLの開発は本研究の使命である。 平成16年度において、本研究ではガルバニック腐食を防ぐための新しいアルミニウム合金の表面処理方法を重点的に研究してきた。従来のクロムを利用したアルミニウム合金の表面処理方法と違い、人間や環境にやさしい脱クロムの処理方法を考案し、研究してきた。その結果次のような成果が得られた。硫酸による陽極酸化膜+ニッケル酢酸封口処理方法はクロムを使用しないし防食効果もあるが、FRPとの接着性がよくない。これを克服するため、本研究は硫酸陽極酸化とゾルゲル法によるコーティングの研究を進め、特にゾルゲル溶液の各成分による腐食防止への影響について繰り返して研究した。複合膜の耐食性評価試験では、自然電位測定、塩溶液中で炭素と接触させた場合の腐食電流値の測定を行った。さらにオートクレーブを使用し、CF/Al-FMLの積層板を作成し、その断面のSEM観察、CF/Al-FML試験片の引張試験などを行った。その結果、本研究で考案した硫酸陽極酸化とゾルゲル法による複合膜の作製が成功し、複合膜がガルバニック腐食に対して十分な防止効果を有し、CFRPとの接着性も良好であることを確認した。次年度から、ゾルゲル溶液の各成分による複合膜の剛性及び強度への影響を詳しく研究する計画である。
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