研究概要 |
L1_0構造を有するFePt規則合金は、その大きな結晶磁気異方性と数ナノメートルまで微小化した場合においても熱擾乱に耐え得ることかち、次世代の高密度磁気記録媒体用材料として有望視され、現在盛んに研究開発が行われている。しかしながら、FePtナノ粒子を規則化させると同時にその配列を制御する技術は現在まで確立されておらず、さらに高精度なナノ構造の制御が要求されている。そこで本研究では優れた磁気特性を有するFePt規則合金ナノ粒子の磁化挙動を詳細に調べるとともに、FePtナノ粒子が規則配列した構造を安価に作製するために、ナノサイズの球状粒子をマスクとして利用したナノスフィアリソグラフィーの技術を確立させることを目的とした。まず、FePt粒子においては粒子径が200nm以上の多磁区構造を示す試料において、これまでに報告されている硬質磁石材料の中でも最も理想的な核生成型の磁化過程を示すことを明らかにした。続いてナノスフィアリソグラフィーを確立するために、引き上げ法、滴下法、スピンコート法などいくつかの手法を試みた。ポリスチレン球状粒子は50,200,900nmの各サイズを用いた。ナノサイズの球状粒子を緻密に基板上に1層堆積させるためには、球状粒子の分散溶液濃度および溶媒を乾燥・蒸発させる速度が非常に重要なパラメーターであり、1.0〜2.0vol.%の場合に、約10mm角の基板にほぼ均一な厚さのナノ粒子が堆積できることを明らかにした。また、その条件下で球状ナノ粒子をMgO単結晶基板上に1層堆積させた後、Arイオンエッチングを行った結果、球状のナノ粒子の形状を反映した凹凸を有する表面構造を示す基板が得られることに成功した。このようなナノスフィアリソグラフィーを利用して作製した人工的な基板の表面構造は、規則配列を示すパターンドメディア等へ応用するために非常に有用な技術であると考えられる。
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