本研究では、平成16年度ならびに平成17年度の2年間にわたる研究期間において、下記の項目に関する実験的解析を行った。その結果、γ+β二相組織を持つアルミニウム-チタン-バナジウム三元系チタンアルミナイドの強度・変形特性を特徴づける下記の幅広い実験的情報を収集できた。これらについて、データを補充しつつ報告する予定である (1)L1_0規則構造のγ相と体心立方晶構造のβ相との二相から成るミクロ組織の特徴付け Al濃度を40原子%とし、残りをTiとVに分配した化学組成を持つ三元系合金で、結晶粒径が5〜2μmのγ+β微細二相組織が形成された。両相の体積分率は30原子%Vの組成でほぼ50:50であった。V量が増すにつれ、γ相の正方晶の軸比が微増した。 (2)Al-Ti-V三元系合金の圧縮試験における強度とその温度依存性 上記の三元系合金は室温〜900Kの温度範囲では800MPa以上の高い耐力を示したが、900Kを超える温度では温度上昇とともに急激に強度が低下した。V量が高いほど高温強度が損なわれ、微細二相組織中の粒界・界面でのすべりが軟化を助長すると考えられた。 (3)高温での圧縮クリープにおけるクリープ曲線、クリープ速度とその応力依存性 1000〜1200Kの試験温度で行った圧縮クリープ試験において、高温強度に関する上記の所見と符合して、高V濃度材でクリープ速度が高くなった。V濃度が20原子%の材料は低応力側で約2の応力指数を示し、粒界すべりが支配的に活動しているものと推論された (4)変形を加えた後のミクロ組織のキャラクタライゼーション 高温での強度に関する結果から、温度とともにγ相とβ相の強度の大小関係が逆転すると考えられた。高温で大変形を加えた際の粒子の連結、表面起伏に関する観察も行った。
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