研究課題
軸方位<001>、<011>および<111>純銅単結晶を制度良く育成し、これよりECAP法により平均粒径約200nmの超微細結晶を作製した。この微細化過程での変形機構や内部転位構造の変化などを観察、検討した。試料挿入の初期方位の違いによりダイス経路交差部での転位組織および結晶の回転の様子は大きく異なり、3つのグループに分けられる。すなわち、(1)明瞭な境界を有する変形帯を形成し、半径方向軸反時計回りの結晶回転を起こすとともに、その変形帯組織の界面は[111]すべり面に平行。(2)複数方向に変形帯を形成し、任意の軸廻りの3次元的な回転を起こす。(3)境界の不明瞭な変形帯を形成し、2軸反時計回りの結晶回転を起こすことを明らかにした。また試料挿入では各押出し後90度回転させるルートでの加工が最も微細化に有効である。さらに、超微細結晶材を得るためには挿入時の初期方位の影響よりもせん断面方位の影響の方が結晶微細化に大きく寄与することなどを明らかにした。環境中でのき裂発生挙動および伝播挙動を検討した結果、全ての試験片で応力拡大係数とき裂進展速度との関係は実用材料のSCCで示される特徴的な伝播第一領域と第二領域に分けられ、第一領域では応力拡大係数の増加とともにき裂進展速度が上昇する。第二領域では応力拡大係数に関係なくき裂進展速度が一定値を示す。また、単結晶からの超微細銅では多結晶銅よりからのものに比べ、き裂の分岐が多くかつ蛇行が著しく伝播に時間を要する。単結晶から8パス後の超微細結晶銅では挿入時の初期方位の影響は殆ど認められなく、むしろ最終加工時のせん断方向と試料切出し方向との関係により、き裂の伝播方向に差があることなどを明らかにした。これらの成果の一部は次頁に示す学会誌および国際会議録に公表済みである。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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