研究課題
基盤研究(C)
Ti2AINb相(O相)を主要な構成相としたO相基合金は、加工性、破壊靱性に優れたチタン系軽量耐熱材料である。本研究では、報告者が開発したTi-22Al-20Nb-2W合金を対象に、加工熱処理を施して粒径を微細粒から粗大粒にまで変化させることを試みる。このような粒径を変化させた素材の室温延性及びクリープ特性を評価し、室温延性とクリープとがバランス良く優れるような粒径を明確にする。均質な合金素材を得るために、Arガス噴霧法を用いて製造したTi-22Al-20Nb-2W合金粉末を熱間静水圧プレス(HIP)処理して緻密化する、という製造手法を採用した。HIP処理後の試料を1000℃((B2+α_2)二相域)で圧延し、更に(B2+α_2)二相域での溶体化処理を行うという加工熱処理により、B2結晶粒径を制御した。溶体化処理後に毎秒0.03Kの速度で徐冷して粒内をラメラー組織に制御した。加工処理後のB2結晶粒径は、1020℃、100時間保持で27μm、1050℃、100時間保持で61μmとなり、B2単相域である1150℃で圧延、溶体化処理を行った材料(結晶粒径108μm)と比較して非常に微細化された。この結晶粒微細化に伴い、引張り強さ及び伸びは著しく増加した。例えば、結晶粒径108μmの試料の引張り強さ、伸びは、それぞれ850MPa、0.5%であるのに対して、結晶粒径を27μmに細かくすると、これらの値は、それぞれ、1220MPa、5%に増加した。それぞれの材料を650℃、310MPaの条件でクリープ試験した。結晶粒径61μmの試料は、結晶粒径108Fmの試料とほぼ同様のクリープ変形抵抗を示すのに対して、結晶粒径を27μmと細かくするとクリープ変形速度は大幅に増加した。これらの結果より、室温特性と高温特性とが両立するようなB2結晶粒径は約60μmであると結論つけた。
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第11回チタン世界会議(Ti-2007)プロシーディング
Proceedings of the 11^<th> World Conference of Titanium, Kyoto, Japan
CAMP-ISIJ 19
ページ: 1355
CAMP-ISIJ Vol.19