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本研究は、中性子共鳴吸収分光法を利用して、バルク内部の温度分布や元素分布を非破壊的に調べる技術を開発し、あわせて中性子散乱法へのコンピューター断層撮像(CT)による可視化技術応用の可能性を検討することを目的とするものである。中性子共鳴吸収分光法は、中性子吸収即発γ線分析と飛行時間法の特長を組み合わせた分光法であり、物質中のある特定同位体元素のみについての運動状態を実効温度というパラメータで決定することが出来る。実効温度は、室温を超える充分に高い温度で実際の試料温度とほぼ一致してくるので、これにより試料の実際の温度を測定することに利用可能である。さらに中性子をプローブとして利用するため物体内部の情報を得られること、また感度も通常の中性子散乱と比べて非常に高いということから、試料の回転やスリットを組み合わせて実空間情報もあわせて得ることが出来れば、CTの技術を応用して、物体内部の非破壊・非接触の物体内部温度分布測定が可能となる。
平成16年度は、中性子共鳴吸収分光器用のCTステージを作成し、不均質バルク試料のデータ収集を行った。CTステージにはB_4C角棒を利用した中性子スリットを装着し、スリットの移動とバルク試料の回転を組み合わせて、空間情報を併せ持った中性子共鳴吸収スペクトルの組を得た。このデータに対し、データ処理用として導入した高速計算機によりCT変換を行い、バルク試料断層における核種分布と温度分布のデータを得た。これと高速計算機による実験シミュレーションを比較すると、本研究で開発した中性子共鳴吸収分光法とCT法の組み合わせによる結果は、現実の核種/温度分布に対応しており、有効な手法であると確認された。
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