研究課題
基盤研究(C)
まず、反応性通電加圧焼結装置を用いて、固相置換反応B_4C+5W+80WC→4WB+81WCを起こさせながら焼結させ、W-B-C系の複合セラミックス合成のための最適焼結温度を調べた。その結果、1650℃以上で緻密な焼結体が得られることが分かった。1650℃の焼結体は結晶粒が細かく、硬度が高いが、1700℃以上では非常に粗粒化し、硬度が著しく低下した。このように適切温度範囲が狭いと、品質管理が難しいので、粒成長防止剤を添加して、微細な粒の状態が維持できる焼結温度範囲を広げる必要がある。そこで、WCへの粒成長防止作用のあるVCの添加効果を調べた。VC微量添加のWC粉末を使用して、B_4C-5W-80WCになるように粉末を混合し、反応性通電加圧焼結を行った。VCを含んでいると、1750℃以上で緻密になった。緻密化した1800℃の焼結体の結晶粒径は原料のWC粉末の粒径からほとんど変化しておらず、優れた粒成長防止効果が認められた。焼結温度1700℃までは、WB、W_2B、WC及びW_2Cが生成していたが、焼結温度1750℃以上ではW_2Bが生成せず、WB、WC、及びW_2Cが生成した。添加したVCは、WCには固溶せず、WCの粒界あるいはWBやW_2Bの回りに析出した。かさ密度は1750℃まで緩やかに増大し、1750℃を越えるとほぼ15.5gcm^<-3>の一定値を示した。ヤング率は1750℃まで緩やかに増大し、1750℃で最大値689GPaになり、その後もほぼ一定であった。ポアソン比は焼結温度に関係なく、ほぼ一定値を示した。ビッカース硬さは焼結温度が高くなっても、粒成長しないため、ほとんど低下せず、焼結温度に関わらず25GPa以上の非常に高い値を示した。破壊靭性値は焼結温度1700と1750℃の時に最大値5.3MPam^<1/2>を示し、VCを含まない場合より少し低くなった。
すべて 2004
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Materials Science Forum Vol.449-452
ページ: 309-312
Journal of the European Ceramic Society Vol.24, No.5
ページ: 871-876