粉末焼結法によるMg-Sc合金の作製と機械的特性の評価のため、平成16年度はScを45%含むMg-Sc合金インゴットを作製し、下記を実施することを予定していた。 1.Mg-45%Sc母合金を作製。 2.インゴットを機械的に切削して切り屑とし、機械的に混合した後、再溶解を行う。 3.母合金を切り出し、数十グラムずつの固まりとし、超急冷装置に装填し密封した後、本体を真空とする。十分真空度があがった状態で、高純度のアルゴンガスで本体を置換する。 4.高周波加熱装置で装填した母合金を溶解し、高圧のアルゴンガスで高速回転しているロールに吹き付け、リボン状サンプルを作製する。 今年度の結論として、第1段階でかなり進展に困難が生じた。その理由はScが高額であることと入手ルートが限られることから当初予定していたメーカーからの購入ができず、納期に6ヶ月がかかることが判明した。そこで急遽別のルートでScを購入したが、今回の事態からScを最初から用いて製造方法を試行錯誤することは危険と判断し、入手が容易なGdを用いた実験を先行させることとした。Mg-Gd母合金および安価に製造できるMg-Al母合金をそれぞれ1kg作製した。得られた母合金を用いて、片ロール超急冷装置によってリボン状試料の作製に成功した。また、Mg-Sc母合金を500g作製することができた。次年度は、今年度の技術に基づいて当初の予定通りMg-Sc母合金を用いたリボンの作製、機械的性質の測定、さらに腐食挙動と微視的組織の構造解析を行う予定である。
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