アルミ合金と鉄鋼材料の摩擦撹拌作用による異種金属間の接合について、その接合特性や接合機構を明らかにするために基礎実験を行った。実験には、縦型マシニングセンターを用い、接合ツールとしては、超硬合金を使用した。接合部材として、6063アルミ合金とS45C機械構造用炭素鋼を用いた。ツール回転数、接合速度、挿入量などを高精度に制御し、その接合に関する基礎的検討を行い、以下の結論を得た。 1)ツール形状を変えることにより、最大接合速度1000mm/minを達成できることが明らかとなった。得られた接合継手の破断強度は160MPaを示し約70%の継手効率が得られた。 2)接合部材における内部巨視欠陥の発生状況は、ロッド回転数と接合速度の組合せにより決定されることが分かった。両者の適正な組合せ条件において巨視欠陥を含まない接合体作製が可能である。 3)接合後6063側には撹拌部および熱影響部が存在し、これら領域での硬度低下が認められた。撹拌部と熱影響部境界付近に最軟化部が形成され、引張試験ではその位置で破断が起きることが確認された。 4)接合体を形成できた接合界面には、薄い中間層の形成が認められたが、SEMでは金属間化合物とは確認できなかった。しかし、TEM観察を行った結果、6063/S45Cの間には幅350nmの反応層が存在していることが明らかとなった。また、この反応層は、金属間化合物層とアモルファス層が混在した複雑な構造をなしていることが明らかとなった。
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