アルミ合金と鉄鋼材料の摩擦撹拌作用による異種金属間の接合について、その接合特性や接合機構を明らかにするために基礎実験を行った。実験には、縦型マシニングセンターを用い、接合ツールとしては、超硬合金を使用した。接合部材として、6063アルミ合金とS45C機械構造用炭素鋼を用いた。ツール回転数、接合速度、挿入量などを高精度に制御し、その接合について入熱量の観点から調査を行った。接合時における温度測定を行うと共に、接合体の断面観察、機械的強度試験、X線撮像を行い、明らかとなったことを以下に示す。 1)入熱量過剰であれば界面近傍に欠陥が発生し、入熱量が不足であれば、ピン底部に欠陥が発生し、入熱量が適度であれば欠陥がほぼ発生しないことが明らかとなった。 2)接合線あたりの入熱量の等しい等回転ピッチ接合条件において、接合界面内部の温度はほぼ一定であるが、接合欠陥形態は変化した。このとき、試料表面温度は変化していることから、接合に対する全入熱量が欠陥形態に影響しているものと考えられる。 3)接合体の引張、曲げ強度は入熱量増加に伴い低下すること、接合体への熱処理により機械的特性の変化が明らかとなった。接合プロセスの最適化には、適切な入熱条件および熱処理条件の選定が必要である。 4)X線透過像観察により接合界面のFe材がAl材の塑性流動により攪拌部に分散すること、入熱条件により分散領域が変化することが観察された。また、X線CT像観察によりFe材の分散からAl材の塑性流動状態を推測できることを明らかにした。
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