研究概要 |
1.構成式モデルの改良と焼結体強度の調査 (1)異方性構成式の作成 前年度までに構築した構成モデルは等方性を仮定していたが,実際の単軸加圧による金属中空球成形体の焼結では,中空球同士の接合度合いは方向により異なることが確認された,現等方性モデルでも良い予測結果は得られるが,簡便法による近似となる.従って理論的な矛盾を解消するためにも構成モデルに異方性を導入した. (2)焼結体強度の調査 中空球同士の接近,接触度合いについて,開発した異方性構成モデルを用いた計算結果と実際の焼成による実験結果とを比較したところ,シミュレーションにより方向による差違を再現でき,良い一致が得られることがわかった。これにより異方性構城モデルが妥当であることが検証できた.また,室温圧縮試験により焼結体の変形抵抗特性を調査し,これと中空球同士の接触度合いとの関係を検討したところ,ある一定の接触面の拡大が達成されれば,焼成条件に係わらず,セル構造体としての十分な機械的特性が得られることがわかった.これより接触度により焼結体の強度評価が可能であり,本手法の有効性を確認できた. 2.金属中空球成形体の焼成と最適焼結条件の検証 開発した構成モデルの応用として,金属中空球成形体の加圧焼結シミュレーションを行った.試料の形状寸法変化,接合程度を計算し,最適な焼成条件を予測し,それに基づいた焼成実験を実行した.その結果,シミュレーションと同様の結果が得られた.
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