研究概要 |
マグネシウム合金板は,厚さ120mm以上のスラブから大量のエネルギーを消費する熱間圧延を繰り返すことにより作製される.その結果,マグネシウム合金板は,有用であるにもかかわらず大変なコスト高となってしまう. そこで本研究では,高速双ロールキャスターを用いて厚さが2mm以下の薄板作製を検討した.熱間圧延の工程が大幅に省略できるため,エネルギーが大幅に節約できる.しかし,厚さが2mm以下の薄板を,ロールキャスターを用いて半凝固鋳造や低温鋳造により作製した例は国内外を問わず無い.本研究では,マグネシウム合金に適した高速双ロールキャスターを開発し,高機能な薄板の作製条件を明らかにした.良好な薄板を作製するためには,連続的に鋳造が可能な条件を明らかにする必要がある.マグネシウム合金は,アルミニウム合金と比較して熱伝導率は低く,比熱や凝固潜熱は小さい.これから推測できることは,マグネシウム合金は,ノズル内で凝固し易く取り扱いが困難なことである. 第一段階として連続的に鋳造が可能な条件を明らかにした.連続的に薄板を作製するためには,凝固距離(ロールとマグネシウム合金の接触距離)を適切に選択する必要があることを明らかにした.これを明らかにした後に,様々な合金種の鋳造性について検討を行った.その結果AZ31,AM60,AZ91の薄板を90m/minの高速度で鋳造することができた. 第二段階としてプレス成形性の調査を行った.鋳造用合金であるAZ91も0.4mmまで圧延することができた.この板を用いてプレス成形を試み,温間プレス成形が可能であることを明らかにした.2.0以上のLDRを達成することができた.
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