研究課題
現在我々の身の回りには、多くのプラスチック製品が氾濫している。2003年、廃プラスチックの総排出量は1001万トンあったが、そのうちわずか半分程度しか有効利用されず、残りは埋め立てや焼却処分されている。また、建設廃材など廃木材の処理も課題となっている。このような状況から、一部の製鉄所では羽口から微粉炭と共に廃プラスチックを投入する設備を高炉に導入し、また廃木材の利用も検討されている。しかし、正確に効率よく操業するためには、高炉への廃棄物の吹き込みについて、より多くの基礎的データが必要となっている。そこで本研究では、木材、ポリエチレンを高温で熱分解し、生成ガス及びチャーの生成割合、生成ガス組成を調査した。その結果、木材からはチャー、CO、H2が得られ、ポリエチレンからはチャーとH2が得られた。また、木材あるいはポリエチレンとFe2O3(ヘマタイト)の混合物を高温でガス化・還元し、生成ガス及び凝縮相の生成割合や凝縮相の形状とその組成を調査した。その結果、混合物中のFe2O3は還元し、またFe2O3は見かけ上、木材あるいはポリエチレン中のHではなくCにより還元されたことを確認した。さらに、COやH2といった高還元性ガスが生成ガスの90%以上生じることを確認した。また微粉炭吹き込みによる高炉の安定操業は、高炉メーカーにおいて長期間の実績があるので、廃木材、廃プラスチックの燃焼速度が相対的に微粉炭以上であれば、高炉への廃木材、廃プラスチックの吹き込みは高炉の安定性に悪影響を及ぼさないものと考え、微粉炭、廃木材、廃プラスチックを1273Kから2073Kの高温度域、雰囲気酸素濃度0%、20%、30%、50%の下で反応性(燃焼速度)を調査した。その結果、廃木材は粒径が1mm以下であれば、また廃プラスチックは粒径が0.3mm以下であれば、ともに微粉炭よりも燃焼速度が大きくなることを確認した。以上の結果より、高炉羽口からの廃木材及び廃プラスチックの吹き込みは非常に有効であるということが分かった。
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Steel Research International (in press)
Proceedings of John Floyd Symposium on Sustainable Development ion Metals Processing, July, 3-5,2005,Melbourne, Australia(Edited by M.)
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