研究概要 |
平成17年度は,ナイルレッドをモデル汚染物質として用いて以下の研究を行った. 1.ナイルレッドのシクロデキストリンへの溶解度の測定 Methyl-β-CDおよびβ-CD水溶液にナイルレッド(CD)を加え,25℃,180rpmで3日間振盪後,上澄液を蛍光光度計で濃度測定し,ナイルレッドの溶解度を測定した.ナイルレッドの溶解度は0.2ppm程度であるが,CDを添加することによりナイルレッド溶解度はCD濃度に比例して増加した.すなわちCDがナイルレッドの可溶化を促進した.また,Methyl-β-CD水溶液へのナイルレッド溶解度はβ-CD水溶液に比較して約2倍高くなった.共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)を用いてナイルレッド吸着土壌を観察した結果,土壌への吸着によって,赤色強度が高くなり,CLSMによる定量測定の可能性が示唆された. 2.シクロデキストリン水溶液の添加による土壌吸着ナイルレッドの脱着速度の測定 ナイルレッド汚染土壌とMethyl-β-CDを所定量混合し,2軸混錬機を用いて混錬し,土壌に吸着したナイルレッドの除去過程を追跡した.所定時間ごとに土壌をサンプリングし,残留しているナイルレッド濃度を蛍光光度計または液体クロマトグラフで測定した.Methyl-β-CDを添加混錬後,約1時間で除去量は平衡値に達するが,最大除去率は土壌の含水率が35%の場合が最も高く,含水率がこれ以上高くてもまた低くても除去率は減少した. 3.シクロデキストリン水溶液と土壌の混合法の違いによるナイルレッドオイルの脱離挙動の変化 2軸混練機,スパーテルを用いた手動混練,卓上ニーダー,キッチンミキサー等を用いて混練を行った場合について,ナイルレッドの脱離速度を比較した.混練せん断力が働く2軸混練機による除去方法が,ナイルレッド除去速度が最も優れていた.混練せん断力の低い他の手法はいずれも同等の除去率を示した.
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