研究概要 |
親油性のシリコンアルコキシド(テトラブトキシシラン)と界面活性剤を溶解した水溶液を撹拌相中で分散反応させることにより、直径が500μm程度の球状シリカ粒子を調製することができた。このシリカ粒子は、界面活性剤が油相に抽出され、シリコンアルコキシドの加水分解・重縮合反応により界面活性剤が分子鋳型となり、細孔径が数ナノメータで揃い、かつ比表面積が1,000m2/g以上のメソポーラスシリカ粒子であった。また、このナノ細孔は規則構造を有しており、通常、良く知られているヘキサゴナル構造(MCM41)とは、細孔とシリカ部分が逆となった逆ヘキサゴナル構造を有していることを明らかにした。このことは球状シリカ粒子中でナノ細孔が連結した構造であることを意味しており、分離膜や吸着分離剤として非常に有用な構造であることが期待できる。 本年度は、この逆ヘキサゴナル構造を有するシリカの分離特性を評価するために、主に二種類の実験を行った。まず始めに、この油水二相系で調製した球状メソポーラスシリカ粒子をカラムに充填して、溶液中に溶解した分子サイズの異なる二つの基質(フェノールとメチレンブルー)の分離特性(破過曲線、破過時間)を評価した。その結果、分子サイズにより大きく分離特性が異なっていることを確認した。また、シリカ粒子を調製する途中のテトラブトキシシランのゲル溶液をガラスフィルターの細孔中に含浸させて分離膜を調製し、同様な分離特性を評価した。その結果、この膜はイオンを透過せずに、フェノール分子の能動輸送挙動を示すことを見出した。さらに、カラムと同じように分子サイズによる選択性機能を発現することを見出した。
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