研究概要 |
球状メソポーラスシリカ粒子を、疎水性のテトラブトキシシラン(TBOS)と分子鋳型として界面活性剤を溶解したアルカリ水溶液からなる二相系で調製した。この粒子の直径は約500μmで、比表面積は1,000m^2/g以上であった。粒子のナノ構造は、シリカのナノロッドが六方晶で配列した連続細孔構造を有している逆MCM-41構造であると考えられた。この特異なナノ構造体は分離場として利用できることが期待できる。この逆MCM-41構造の形成過程を種々の実験結果から推論した。この逆MCM-41構造のメソポーラスシリカ粒子に対するフェノールの可溶化量は、細孔が連続化しているために、MCM-41やMCM-48構造のメソポーラスシリカ粒子への可溶化量よりも大きくなった。このメソポーラスシリカ粒子の分離特性を評価するために、二つの実験方法を用いた。 (1)カラム分離:界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ粒子を高さ10cmのカラムに充填した。この粒子を充填したカラムの圧力損失は市販のMCM41メソポーラスシリカ粒子を充填した場合よりも減少した。これは調製した粒子径が市販の粒子よりも大きく球状であるためである。種々の有機物質の破過曲線をこのカラムを用いて測定した。有機物質の破過時間は有機物質の疎水性パラメータの増加に連れて長くなった。つぎに、焼成したメソポーラスシリカ粒子を充填したときは、破過時間は有機物質のサイズが大きくなるにつれて短くなった。この結果はサイズ選択性の分離特性であった。 (2)膜分離:ガラスフイルターにTBOSのゲル溶液を含浸させて膜を調製した。この膜の分離性能を評価した結果、カラム分離と同様な分離特性を示した。
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