研究概要 |
平成17年度は、前年度開発した蒸気圧測定装置に無限希釈活量係数測定部を付設した。前年度購入したガスクロマトグラフ(GLサイエンスGC323W)は、高感度のTCD検出器を持ち、揮発度(蒸気圧・活量係数)の小さな成分に対しても、長時間連続運転が可能になった。従来のFID検出器との測定データの比較をするために、水中のアセトンの測定により、装置の健全性を確認した。この装置を駆使して、無限希釈活量係数を系統的に集積した。溶媒として、アルカンおよび水をとりあげ、溶質としてケトン類、エーテル類の組み合わせの測定を10〜50℃で行った(福地)。また、フルオロエーテル類は、新規物質であり、蒸気圧などの基本データも一部しか公表されていないのが現状である。そこで、本測定装置を駆使して、飽和蒸気圧および無限希釈活量係数測定を10〜50℃の範囲で行った(福地)。測定したデータに対して健全性の評価を行い、蒸気圧と無限希釈活量係数のデータベースを構築した(小渕)。 さらに、集積したデータに立脚し、工学的に有用な無限希釈活量係数の推算法を提案する(荒井)。前年度までに開発した新しいグループ寄与法のモデルを発展させ、必要なパラメータを沸点などの基本物性値と相関することで一般化し、有機系有害物質の無限希釈活量係数を推算した(福地、荒井)。無限希釈活量係数推算法である本研究の修正ASOG法の汎用性を高めるために、グループ対パラメータのデータベース作成を行った(小渕)。以上、環境汚染微量有害物質の蒸気圧および無限希釈活量係数の測定データを集積し、汎用性の高い活量係数モデルの提案をすることが本研究の目的であり、工学的に極めて有用であり、本研究独自の成果となった。 研究成果の一部は、分離技術年会(大阪,6月3-4日,2005)、第6回日韓合同分離技術シンポジウム(東京,2002)に続いて第7回日韓合同分離技術シンポジウム(韓国栄州,8月18-20日,2005)、第26回日本熱物性シンポジウム(つくば,11月9-10日,2005)に発表した(福地)。
|